●名称 ムラサキ科シャゼンムラサキ属カンディカンス
Echium candicans

●別名 マデイラの誇り、マデイラの星
Proud of Madeira, Star of Madeira

●原産地 ポルトガル領マデイラ諸島

●草丈 2m前後

●栽培難易度 易

●多年草、二年草

●海浜植物

 
  名称について

エキウム・カンディカンス(Echium candicans)は、かつては"Echium fastuosum"と呼ばれていました。この"fastuosum"は発音が難しく「ファスツォスム」「ファストスム」と読まれたりしていましたが、何度聞かされても覚えられるものではありません。「カンディカンス」はどうにか発音でき、また覚えることができる名称ですが、その意味は「白っぽい」「白みを帯びた」というものです。これは青紫の花ではなく葉や幹の色をあらわした名称です。ちなみに"fastuosum"は「誇り」という意味です。地元で「マデイラの誇り」と呼ばれているからでしょう。

なお、エキウム・カンディカンスとエキウム・ウィルドプレッティの区別がついていないためか、両者を混同してエキウム・カンディカンスを「宝石の塔」「ジュエリータワー」と呼ぶ人がいますが、これは誤りです。「ジュエリータワー」はエキウム・ウィルドプレッティに与えられた名称です。カンディカンスには「マデイラの星(スター・オブ・マデイラ)」という名称が与えられています。

 
  多年草か二年草か

エキウム・カンディカンスは、「二年草」と表示されたり「多年草」と表示されたりすることがあります。カンディカンスは順調に生育するなら播種後2年目に開花しますが、開花後結実させるとしばしば枯れてしまいます。

カンディカンスは種採り以外で結実させる理由はないことから、一般的に開花後結実前に剪定を行います。その場合は、5年前後まで咲き続け「多年草」となります。

 
  海浜植物

エキウム・ウィルドプレッティは亜高山植物ですが、エキウム・カンディカンスは海浜植物です。松のように強風に強く、やせた弱アルカリの土地または砂地で育つことができます。もっとも、海岸以外でも問題なく育ちます。地中海沿岸をイメージして育てるとよいでしょう。

 
  栽培難易度

「エキウムは難しい」という場合、そのエキウムはウィルドプレッティを指しているのかも知れません。亜高山植物のエキウム・ウィルドプレッティを高温多湿の日本で育てることは非常に難しいものです。もしエキウム・ウィルドプレッティを種から開花させることができれば園芸中上級者を誇っても良いでしょう。

一方で、他のエキウム、たとえば、ブルガレやブルーベッダー、また、このカンディカンスは、初心者でも簡単です。放任栽培で悠々発芽・生育・開花します。むしろ手を入れない方が良いくらいです。エキウム・カンディカンスは栽培が容易な上に人目を引く花を咲かせるため、園芸初心者にもお勧めです。